疑惑
「まさか……この村に、こんな秘密が隠されていたなんてッ……!」
「うふふ、私も長年にわたる研究から紡ぎ出した結論よ。到底信じられないけれど、事実には変わりないわ」
私は、鷹野さんのスクラップ帳を借りて、一晩中すみずみまで読み尽くした。この村に隠される恐ろしい秘密――あまりに突拍子で、本当に信じられない。
――でも、これが真実なんだ。
これが事実なら、これを知った私は奴らから命を狙われていることになる。このことを知っただなんて誰にも言うつもりはないけれど、奴らのことだ、もうとっくに知ってしまっているに違いない。
村の皆が、敵だ。
私は戦わなくちゃいけない。私の幸せを守るために。惨劇に呑み込まれないために。この村の恐怖と惨劇とを、誰かに言い伝えるために。もう、惨劇を起こさせないために――!
自分が正しいと思いこみ、自分以外の全ての人を敵だと信じこみ、オヤシロさまへの狂信の取り憑かれて、彼女は狂行に走ってゆく。静かに、ゆっくりと、堕ちてゆく。……惨劇に、呑み込まれてゆく。
「……うふふ……」
どこか物陰で、一人の女性がふと妖しく笑った、気がした。