哀愁

全て、終わった。沙都子のことをずっと虐めていた叔母は、この手で殺した。僕は、この村から出なくちゃならない。このまま居たら、僕が殺されてしまう――きっと、園崎の家に。

雛見沢……ありがとう。この平和な村の暗部に、どんなにおぞましい事実が隠されていたとしても、僕はこの村を嫌いにはならない。嫌いになんてなりたくない……ここは、僕に魅音とレナと梨香ちゃんと、――そして詩音と、出逢わせてくれた場所だから。僕と沙都子が、一緒に暮らした村だから。

でも最後に、沙都子にあの大きなくまのぬいぐるみを買ってあげようと思ってたのに……な。むぅ……。まぁ、いいや。沙都子のことは、詩音にちゃんと頼んだから、――きっと、大丈夫。

詩音は、沙都子のこと怒ってたけど、ちゃんとわかってくれたかな。詩音が僕の居ない間、沙都子を僕の代わりに護ってくれていたら、ありがとうって言って、詩音の頭をなでてあげよう。そして、沙都子を抱きしめてあげて、あの大きなくまのぬいぐるみを渡すんだ。いつか、ここに帰って来たときに……。

 

いくらそう思っても、報われない気がした。

いくら信じても、裏切られる気がした。

もう、全てが……間に合わない気がした。何もかもが、もう取り返しのつかないような気がして。

そう遠くない未来、……全てが狂い出すその時が、目に見えるようで。悲しかった。いずれ鬼に憑かれる彼女が、ひどく哀れで、そして狂おしいほどに愛おしい――

 

それでも――僕に出来ることは、何もないのだ。

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