永遠の刻を、キミと共にいられたら

今日は、9月12日。1年の中で結構トクベツな日。

なんてったって、この俺が生まれた日だぜ!…昨日、日吉にそう言ったら、すげえ冷ややかな目で見られたけど。気にしない。あいつがいちばん、俺が生まれてきてくれてありがたがってるハズなんだからな!フン、素直じゃねえヤツ。

 

…まあ、日吉のことはいいんだ。

朝、家族にお祝いをもらって、今日の夕飯楽しみにしててね、って言われた。

おし、部活から帰ってきたら納豆か!

 

 

 

今日は土曜日だから、朝から部活。こういう日は、だいたいいつも日吉と待ち合わせて、一緒に学校に行く。

俺、ツイてるな。誕生日の日に、部活のやつらよりも誰よりも、一番先に日吉に会えるんだから。

些細なことだけど、俺にとってはすごい重要なことだ。

気分良く小走りでいつもの場所に着くと、既に日吉はそこで俺を待っていた。俺に気がつくと、ほんの少し表情が緩む。日吉のその顔が、結構好き。

 

「向日さん」

「うん、日吉おはよー!」

「おはようございます……って、え、ちょっと!」

 

日吉の声を合図にダッシュして、あいつに飛びついた。ぎゅうっと抱きついたあとに、少し上目使いで日吉の顔を見やる。

 

「ひーよしー」

「……朝っぱらから公道でまったく何やってんですかあなたは…。

 …お誕生日おめでとうございます。これが言わせたかったんでしょ?」

「おう、ありがと日吉!」

 

へへ、やった、っと笑いながら体を離すと、日吉にぎゅっと腕を掴まれた。

 

「手つないで学校いきましょうか」

「………え、だってお前いつも」

 

見つかるからダメだって言うじゃん、

と続けようとしたら、日吉はふっと笑って

 

「今日、先輩の誕生日だから。サービスしてあげますよ」

 

と抜かしやがった。

……不意打ちはずるすぎる

なんか気に入らなくて黙ってると、

 

「嫌ならいいんですよ、別に」

 

とか言われた。

 

「なっ別に嫌じゃねーよ!くそくそ日吉ー…」

 

俺の顔が赤くなってるの、見えてるくせに。

 

 

 

手を繋いだまま学校に着いたら、案の定みんなにからかわれた。なぜか宍戸がいちばん絡んできた。

…納得いかねぇ、お前らが一番バカップルじゃねえか………!

 

部活が終わった後は皆が部室でパーティを開いてくれた。

跡部がばかでかいケーキを用意してくれて、皆がプレゼントくれて、……毎年おなじ、俺らの恒例。誰かの誕生日の時はいつもそうだ。

 

こういう時はやっぱり、こうやってバカ騒ぎしてくれる仲間がいるのが、すごい幸せだと思う。

 

 

 

「俺は全然幸せじゃないですよ…」

「ハハッ、お前めっちゃ遊ばれてたもんなー!」

 

部活からの帰り道。

こいつがイベント毎にイジられてんのも、まぁ恒例みたいなもんだ。

 

「笑えないですよ……!

 …今日は部活おわったら2人で少しどこかに寄ろうかとか思ったりしてたのに」

「…お前それでずっとなんか機嫌わるかったわけ」

 

こいつがああいうのにノリが悪いのはいつものことだけど……今日はどうも、いつにも増して付き合いが悪かったような気がしたのはこういうわけか。

 

「…愛されてんなー、俺」

「……当然でしょう。

 今日はあなたの特別な日だし、…本当は2人で過ごしたかった」

 

なんでコイツは肝心なセリフを面と向かって言わないのか。でもどうせ、そっぽ向いたって赤くなった頬はしっかり見える。

あー、こいつ、可愛いな!

 

俺はぐい、とむりやり日吉の顔をこっちに向けさせて、気になってたことを言った。

 

「お前は、プレゼントくれないの?」

 

今日のパーティの時にプレゼントをくれなかったのは、こいつだけだ。

 

「あぁ、そうだ、忘れてた」

「ハッ!?おま、忘れたって……」

「え?違いますよ、用意するのを忘れたんじゃなくて、渡すのを…はい。お誕生日おめでとうございます、先輩」

「…サンキュ」

 

日吉から素っ気なく渡されたのは、小さな箱。

なんだろ、と思って開けようとすると慌てて止められた。家に帰ってから開けてください、って…なんなんだ一体。ビックリ箱とかじゃねえだろうな、と言ったらクスッと笑って、そんなんじゃありませんから安心してください、と返ってきた。……バカにされたみたいでムカつく…。

 

そのあと俺たちは、最後に短くキスをして別れた。

これも誕生日だから特別らしい。

…あー、こんななら、毎日が誕生日だったら良いのに。

 

 

 

家に帰って、納豆だらけの夕飯を平らげる。ケーキ食べてきたからちょっと腹いっぱいだったけど、スイーツと納豆は別腹だから、うん、問題ない。

 

家族からもたくさん祝ってもらって、幸せな気分で部屋に戻る。ベッドに勢いよく寝転がり、日吉にもらった小さな箱を取り出した。……開けてみようか。

ベッドに座りなおし、おそるおそる箱を開けると、

 

「う、わ…」

 

そこにあったのは、銀色の綺麗な指輪。

ペンダントにしろって意味なのか、ご丁寧に銀の鎖も同封されている。

メッセージカードを見てみると、日吉の綺麗な字でただ一言、

 

生まれてきてくれてありがとう

いつまでも貴方と一緒にいられますように

 

とだけ書かれてあった。

……やばい。泣きそう。

 

指輪はなぜか左手の薬指にぴったりだった。…いつのまにサイズはかったんだ?あいつ。

 

 

 

月曜に、これを左手の薬指につけて登校してやろう。ペンダントにしたりして誤魔化すもんか。

 

俺も、お前とずっと一緒にいたいから

 

 

 

俺の指輪が見つかるのに凄い焦るだろう日吉の姿を想像しながら、俺は幸せな眠りについた。


氷帝の皆とか向日家の皆さんとか割愛しすぎでゴメンナサイ(ノД<。・゜

てか中学生の分際で誕プレがシルバーリングとか\(^o^)/

 

しかし日吉、デレデレすぎるな…笑

あ、がっくんがデレデレなのはいつものことだよ★←

 

シルバーリングを贈るって、相手を縛りつけるというか束縛的な意味もあるそうですね。

と雰囲気ぶち壊して終わってみる^ω^←←←

日岳へ戻る